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 管理棟4階の生徒会室。圭吾様は正門が見える窓に張り付いて、珍しく騒いでいる。高等部の敷地から出て行く弟の光様を見ているのだ。


「宗! 見ろ、光が帰って行く……もう新学年が始まるまで光に会えないのか……」


 圭吾様と私が高2から引き続き生徒会長、副会長を務めることが決まった日。新生徒会メンバーを決めるため、生徒会室で話し合っていた時だった。


「賢二はいいな。光と常に一緒にいられる。お前もそう思うだろう?」


 そうだ。それが私の本音だ。
 私は、光様に恋をしている。いつからなのかは分からない。もしかしたら光様を初めて見たその時からかもしれない。

 ずっとゲイやバイの巣窟である宝生で育ったからか、男が男にそういう感情を抱くことに偏見はない。好き同士なら同性だろうど関係ないと思うが、自分にはそれがあてはまらない。
 光様と私では身分が違うのだから。

 だから私は、恋人になれずとも光様の専属になれるなら、どんなにいいだろうかと考える。光様の専属として生まれた賢二が羨ましくて仕方がない。


「そうだな。光様なら自分の面倒事を押しつけてきたりはしないだろうからな」

「俺にしかできないことは俺がやる。が、他の奴でもできることはそいつにやらせる。これが俺のポリシーだ」

「はいはい。左様でございますか」

「新生徒会だがな、今年と同じメンバーでいいだろう? 1年間、運営に問題はなかったんだ。お前はどう思う?」


『お前はどう思う?』
 圭吾様はこう言って私の意見をいつも聞いてくれる。生徒会メンバーには暴君と言われる圭吾様だが、決して横暴な訳ではない。


「私もそれでいいと思うよ。去年はランキングでそこまで上位でなかった者も含め、全員が3位までに入っている。評価された証拠だ」

「ミーハーな馬鹿共ばかりだとも言えるがな」

「ミーハーと言えば……この副会長選の1位になった月夜という人物、一体何年何組の誰なんだろうな?」

「ああ……まあ投票した者たちは大方、自分たちでは見つけられないから学園側に探してもらおうとでも思ったんじゃないか」

「そんな面倒なことをこの学園がするわけがないだろうに。生徒の意見を尊重するだなんて、生徒会に仕事を押しつける体の良い言い訳でしかない。……あぁ、まるでどこかのご子息のようだな」

「上に立つ者はそれくらいで丁度いいんだ。周りを信頼し任せなければ自分が疲弊し、すべてが回らなくなるからな」

「はいはい。全くもってその通りでございますね。ご立派なお考えでございます」


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