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「お待たせ〜っ」


 5つのカップとお菓子を載せたトレイを持って、幸介が4人の元へやって来る。


「はい、圭ちゃんっ」


 そう言って、圭吾の前にカップとソーサーを置く幸介。太一を『たっちゃん』、空牙を『くーちゃん』と呼んで、それぞれの前にカップを置く。


「宗ちゃんは、ミルクいるよねっ?」

「あ、あぁ……」


 『宗ちゃん』
 宗一郎をそう呼ぶ幸介を見て、太一はすべてが分かった。
 幸介は、光の真似をしているのだ。宗一郎が特別愛おしそうな目で見ていた光のように振る舞っているのだ。

 なんて……、なんていじらしいのだろう。なんて愛おしい姿だろう。
 宗一郎を一心に想うその姿を、太一は今にも泣き出しそうな顔で……しかし微笑んで見ていた。


「たっちゃんってば、どうしたのっ? ニヤニヤしちゃって〜」

「だって、『幸ちゃん』可愛いんだもん」


 そんな幸介の恋が叶えばいい。
 幸せになってほしい。

 心から、そう思った。


end.
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