03




 桜井家の敷地内にある大木の家は、いつ呼ばれてもいいように桜井の本宅のすぐ側にある。私は急いで本宅の圭吾様の自室へと向かった。


「何か御用でしょうか?」

「少し話がしたかっただけだ。敬語はやめろ」

「……話って言うのは?」

「母さんの妊娠の件、聞いたか?」

「うん、たった今。父から」

「俺もそうだ。それで……どう思う?」


 今思えば、この時の圭吾様は1人でいるのが嫌だったのだろうと推測できる。当時、後妻に入られた奥様に好意を寄せられていたから。しかし、子供だった私は、圭吾様のお気持ちをそこまで推し量ることはできなかった。


「どう、って?」

「お前は男と女、どっちがいいと思う?」

「僕は……、女の子がいいと思うよ」

「またか? まぁ、そうだな。男ならあの学園に通わないといけなくなる」

「それは危険だね。奥様のお子様なら危機管理能力が養われそうにない」

「母さんはポヤンとしてるからな。それに母さんに似ればすごく可愛い子になるだろうな。小さくて、目が大きくて、少し間延びした喋り方をして」


 この時の半ば冗談だった私達の心配は現実になった。
 キャラメルのような色の大きな瞳に、それに合う明るい色の髪。女の子のように小さい身体。間延びした話し方。光様は私達が思っていたより遙かに可愛らしい子だった。


- 3 -



[*前] | [次#]
[戻る]


×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -