05
「明日も来てくれる?」
「当たり前だろ」
「ありがとう」
「俺がお前の顔が見たいから来てるだけだっつの」
「俺は嬉しいから、ありがとう」
「……おう。あんまりゲームに夢中になるなよ。ちゃんと身体を休めながらやれよ?」
「分かってるよ」
俺は立ち上がった。買ってきたゲームソフトを手に取り、ハードに挿入した。
サトシにコントローラーを渡してやる。ベッドまで余裕で届くコントローラーのコードの長さに時代が進んだことを感じさせる。
俺がサトシくらいの歳の頃は、ソフトがカセットからCDに変わって、映像の派手さに驚いたものだった。
それが今やDVDだ。ポリゴンではなく、CG。サトシとのジェネレーションギャップを感じざるを得ない。
「難しい顔して何考えてるの?」
始まったゲームのオープニング映像を眺める。
「いや、時代は変わったなぁと思ってな」
「あぁ、綺麗だよね。本当の人間みたいで」
「こんなリアルな姿で闘ったりするんだよな」
「それって、教育上よくない気がするね……今思えば」
「変にリアリティを追求して矛盾を感じるな」
「魔法で生き返ったりとか?」
「あぁ」
「そんな魔法が……あればいいのにね」
そんな魔法があるなら、俺はお前を……。と思ったところで、考えるのをやめた。
まだサトシはまだ生きてる。最期まで、諦めない。サトシが諦めていようと……俺だけは。
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