03
「やっほー! 大将!」
「おう、来たか! いま下のもんにバナナ買いに行かせとるさかい待っとけな」
「マジでー!? ありがと大将っ」
「お前がうるさいから仕方なく用意してくれてんだよ。騒いでないでさっさと座れホラ」
「はいはい。俺には焼き鳥適当に見繕ってね!」
「はいよー。隆は?」
「俺もそれでお願い。あと焼おにぎり」
「はいよー!」
大将が注文の焼き鳥を焼き始めると、郁巳も愚痴を始めた。
「マジ聞いてってー。社長がさぁ俺に休みをくれねぇんだよぉ。俺だってさぁ遊びたいのに、ずっと仕事でさぁ。もう日曜とか関係ねぇもん。社長が仕事したら秘書の俺も必然的に仕事じゃん? だから社長がマジメなばっかりに俺が休めないわけよ! 可哀想じゃね? 俺」
「全く? そんなニヤニヤしながら言われてもな。大体その社長と付き合ってんだからずっと一緒にいれて嬉しいだけだろ、お前」
「エヘ」
「つーかお前仕事なんかしてんのかぁ? どうせくっついて回ってるだけだろ」
「バレた?」
「まぁ、あの人が郁巳に仕事なんかさせるわけないしな」
「俺ってば愛されてるからさぁ〜」
「うぜー」
俺が聞きたいのはそんな話じゃなくて、もっと深い話だっつの。
「あの人とキスとかすんの?」
うわー。聞いてから後悔。
あんま友達のそういうの聞きたくねぇなぁ。
……でも聞かねぇと。
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