02
サトシが俺の部屋に転がり込んで来てから、数日が経った。どうやら、几帳面な性格らしく、布団はいつも綺麗に畳まれているし、これまでちゃんとしてなかった掃除もきちんとしてくれているらしい。どこかに埃がかかっているということはなくなっていた。
メシも毎日バランスの取れた和食ばかりで、俺としては理想の嫁さんが家にいるような気分だった。サトシが女だったらすぐにでも結婚申し込む、なんて考えた自分がおかしくて笑えた。
「隆さん、明日休みでしょ? どこか連れてってよ」
「おぅ、いいぞ。行きたいとこあるか?」
いつも俺のために良くしてくれるお礼のつもりで、軽く受け入れた。
「海! 俺、海行ったことないんだ」
「まだ冷たいぜ?」
季節はまだ春先。
「いいよ。泳ぐわけじゃないし」
「よし、わかった。じゃあ今日は早く寝ようぜ」
「うん!」
ちょっと寒いかもしんねぇけど、人も少なくていいか。
明日の夜は外食にしよう。たまにはサトシを労ってやんねぇとな。
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