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「嫌とかそんなんじゃなくて、考えたこともないようなことで、驚いたっつーか……」

「同棲とか、そんな深い意味じゃなくてさ。俺は単純に、れおに『バイバイ』って言うのが嫌でしょうがないんだよ。帰る場所が一緒だったらいいなって、ただそれだけ」


 なんだそりゃ、幸せ過ぎる。こんなことを竹下さんに言ってもらえるってどうなってんだよ。好きな人に好かれてるってまじで……やばい。


「俺も、そうだったら嬉しいっす」

「ほんと? じゃあ、一緒に住むってれおのご両親に挨拶に行くよ」

「……えっ!」

「俺は、真剣に付き合ってるっていつかは言うつもりでいるから、それがいつになったっていいと思ってる。今は先輩とルームシェアするんだっていうくらいで伝えたいなら、そのつもりで行くし、そうじゃないなら殴られる覚悟で行くよ」


 とりあえず、どっちにしろ一緒に住むことは伝えないとね。と竹下さんは笑った。
 竹下さんが真剣に俺と付き合ってくれてるんだって、ちゃんと分かってなかった。竹下さんは確かに、十年後や二十年後のことまで考えてみてって言ってくれていたのに。俺はその時の感情でいっぱいいっぱいで、本当の意味では考えていなかったんだな。


「俺の親、月曜の夜なら二人とも家にいるっす。……恋人連れて帰るって、言っときますね」

「うん。……あ、れおん家ってどのへん?」

「大丈夫っすよ、竹下さんのご実家からは離れてるんで。月曜なら絶対会わないと思います」

「あ、そっか。あの女こと知ってるんだよね。……色々面倒だから、俺の親には紹介しないけど誤解しないでね。父親とは縁を切ったも同然だし、母親はアレだから。嫌な思いさせるだけだと思うんだ」

「分かってるつもりっす」

「うん、ありがとう」


 さて、母さんに何て言おう。男の人だって先に伝えておいた方がいいのかな。今まで彼女も出来たことないし、母さんの反応が読めなさ過ぎて不安だ。


「れお、明日は時間ある? 不動産屋行ってみない?」


 そんなご褒美が明日にあるなら頑張るしかない。不安がなんだ。今日中に母さんに電話してやる! 気持ち良く明日を迎えるために!


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