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「はい、雪田っす」


 何もやることがなくて部屋でダラダラしていると、携帯が鳴った。電話を掛けてきた相手は、霧島さんだった。


「おーっす。今日ヒマ? メシ行かねぇ? それかどっか行きたいとこあんなら付き合うし」

「ヒマっすけど、どうしたんすか? 霧島さんからお誘いなんて、何か珍しいっすね」


 霧島さんが休日に誰か誘うってことになったら、俺じゃなくてニーナだと思うんだけど。先にニーナ誘って断られたのかな。


「今日ほんとは違う奴と遊ぶ予定になってたんだけど、ドタキャンされてよー。何気に服とか気合い入れてたのに無駄になると思ったらムカつくし、誰か誘うかなって」


 なるほど。ニーナがドタキャンしたんだ。あいつすげーな。先輩相手にドタキャンって。
 霧島さんは自宅生なのに、平気で約束もしないで実家に遊び行っちゃったりするし。霧島さんのお母さんと仲良くなったから、霧島さんがいなくてもご飯とかいただくのも普通だとか言うし。


「俺、服欲しいんすよ。見立ててくれないっすか?」

「おー! いいぜ! じゃあ一時間後に中央駅でいいか?」

「おっけーっす。じゃあ、あとで」


 来週はついに竹下さんと出掛ける日だし。新しい服買いたいなってちょうど思ってたんだ。
 竹下さんの隣に並んでも、恥ずかしくないって思えるような姿に一応はなっていたい。髪も切っとくか……気合い入り過ぎって引かれるかな? いや、髪型が違うなんて、きっと気付かれないだろう。俺だったら、竹下さんの髪が1センチ短いだけで気付く自信あるけど。


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