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 待ち合わせ場所の中央駅改札口に、どうやら最初に着けたようだ。俺が一番後輩なんだし、待たせるようなことになったら申し訳ない。


「雪田」


 先輩達が本当にいないか、一応キョロキョロと探していた俺の背後から声を掛けられた。振り返らなくても分かる。この声は竹下さんだ。


「竹下さん! こんちはっす。もしかしてお待たせしちゃいましたか?」

「ううん、今来たとこだよ」

「ならよかっ、た……っす。はい」

「ん? どうかした?」


 少しどもった言葉と、急に俯いてしまったことを変に思われたんだろう。下から顔を覗き込まないで欲しい。赤くなっているだろう顔が余計に熱を持つ。


「耳が赤くなってる」


 バッと耳を両手で隠した。こんなの照れてますって言ってるようなものだ。俺の馬鹿。


「どうしたの?」

「……なんか、さっきの会話が、デ……デートの待ち合わせみたいだって、思っちゃっただけっす」

「それで赤くなったの? ……雪田はほんと可愛いね」


 いよいよ耳から手が離せなくなったし、顔も上げられない。何だよもう。恋愛経験がない俺をからかっているようには聞こえないよ。本当に『可愛い』って言われてるみたいで……心臓潰れそう。


「何のプレイだよそりゃ。言葉攻めか?」

「そんなのじゃないですし、雪田の前で下品なことを言わないで下さい。汚れる」

「へーへー。ユキだって別に純真無垢って訳じゃねーだろー? ユキだって男なんだしオ……」

「それ以上言ったら鼻と口を完全に塞ぎますよ」

「息すんなってこと!? そんなにマズイことは言ってねーぞ!」


 突然の登場から何だか竹下さんと盛り上がっている小野さんを余所に、小野さんと2人で現れた三木さんが俺に話しかけてきた。竹下さん達の話題が自分のことのように思ったけど、三木さんの顔が妙に真剣で聞かないわけにいかなかった。


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