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「なんか欲しいものない?」

「欲しいものっすか?」

「うん。誕生日プレゼント」

「えっと……」


 まじでか。竹下さんからプレゼントとか。なんだそれ、実感なさすぎてやばい。会話になんない。
 竹下さんから何かを貰うって、竹下さんが俺のためにお金を使って物を買うってことだろ? えーなんだそれ。何も思い浮かばない。……どうせなら竹下さんが身に付けてるアクセとか欲しいとか言ったら引かれるかな? 引かれるよな。うん、だめだだめだ。


「ない?」

「いや、あの、えっとですね……あのー、だめならいいんです、全然。ちょっと思い切って言ってみるだけなんで、まじで断ってもらって構わないんすけど」

「うん。なに?」

「あの……今日みたいに、俺と2人で出掛けてもらえないすか。休みの日とか……だめすか?」

「いいよ。どっか行きたいとこあるの?」

「え! いいんすか?」

「いいよ? むしろそんなことでほんとにいいの?」

「すっげー嬉しいっす! ありがとうございます!」

「でもどうせだったら、誕生日当日に出掛けたかったなー。あ、そうだ。俺の誕生日もそうしてくれる? れおとおでかけ」

「えっ、竹下さんの誕生日っすか?」


 竹下さんの誕生日って確か……。


「12月24日なんだけど。だめかな? やっぱ予定入れたいよね。イヴだもんね」

「ガラ空きっす! 俺なんかとでよければいつでもどこでもお供させていただくっす!」

「お供って」


 竹下さんの誕生日に……それもクリスマスイヴに、竹下さんと2人で出掛けるなんて! うわーもう! 俺の人生最近ピーク来てると思ってたらまだ上があったとは。いやでもさすがにこれ以上はない。恐い。幸せすぎてこわい!


「お供なんかじゃなくてさ。もっとこう……デートとかさ。そういう感じできてよ。れおにも楽しんでもらわなきゃ意味ないんだから」

「竹下さん。一旦ちょっといいすか。落ち着いてみていいすかね。えっと、俺の誕生日の分と、竹下さんの誕生日の分と、2回出掛けるってことでいいすか?」

「うん。あ、俺の誕生日は当日ね。いいんだよね? クリスマスイヴは俺とデートってことで」

「うわやべ。それギャグとかじゃないっすよね? まじで出掛けるんすよね?」

「約束済み。キャンセル不可。変更認めません」

「オッケーっす。手に書いときます。これで明日起きても消えてなかったら夢じゃないってことっすね。よし」


 俺ちゃんと喋れてる? 浮かれすぎてやばいんだけど。竹下さんの二十歳の誕生日を俺が祝える。竹下さんとイヴを一緒に過ごせる。竹下さんとクリスマスにお出掛け!
 当日が来なきゃいいのに。そしたらずっと浮かれてられるのに。なんて、それはそれでその内おかしくなっちゃいそう。


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