1-4




「えっ! ……と、そうじゃないっす!」

「なにその間」

「いや、えっと、上手く……言えないんすけど、あの……俺のベッドで竹下さんが寝るとか、緊張するっていうか。俺なんかが使ってるきったねーベッドなんか申し訳ないっていうか。なんつーか、今晩寝る時に、布団とか枕から竹下さんの匂いとかしたら、やべーっていうか! とにかく、嫌な訳じゃないっす! ただなんかちょっと、いきなり距離が縮まりすぎっつーか、ほんと意味分かんないと思うんすけど、嫌とかじゃないっす!」


 必死に何かを俺に伝えようとしてくれているのだろうけれど、何言ってんのかほとんど分からなかった。


「まあ、嫌じゃないなら、遠慮なく」

「はい! どうぞ! 何時間でも!」


 ベッドに横になる。折り畳める構造になっているパイプベッドは、俺の重みでギシッという音を立てて軋んだ。


「雪田はこれからどうすんの?」

「俺っすか? 今から朝メシ食って、今日出すレポートやるっす。あ、竹下さん腹減ってます? 良かったら一緒にどうすか?」

「いや、平気。俺、朝は食えないから。ありがとね」

「そうっすか。あ、あと、俺は3限から大学行きますけど、竹下さんは好きなだけ寝ててもらっていいっすから」

「……鍵は?」

「あ、えーっとスペアあるんで、それで閉めといて下さい」


 財布からスペアキーを取り出して、テーブルの上に置く。


「ここ置いときます。お願いします」

「分かった。ありがとう」

「いえ。じゃあ、おやすみなさい」

「……おやすみ」


 そう言ってすぐに、俺は寝てしまった。起きた時には雪田の姿はなかった。
 代わりに、スペアキーと一緒に、寝る前にはなかった書き置きと、おにぎりと水があった。


- 4 -



[*前] | [次#]
[戻る]


×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -