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「そうだなー。っつっても俺あんまりユキと親しくねぇしな」
「そうなんですか? 雪田って結構社交的ですよね?」
「サークルのメンバーでいても、俺いっつも小野さんの相手させられてるから」
「あー、なるほど。小野さん、三木さんにべったりですもんね」
小野さんは三木さんがいると絶対にそばにいようとする。それが結構強引な方法だろうとだ。こないだ雪田の隣を奪い取った俺みたいに。
もしかしたら小野さんも、俺が雪田を想うような気持ちで三木さんを見てんのかもって思った。
「竹下から見てもそう見えんのか。小野さんと距離取ろうかな、俺」
「何でですか、嫌なんですか?」
もし小野さんの気持ちが俺と一緒なら、小野さんと三木さんの関係性は、俺と雪田とそっくりだ。三木さんも雪田も、相手が先輩だからって邪険に扱えないのかも。
「嫌じゃねーけど、なんか恥ずかしいだろ」
「何も恥ずかしくないですよ。仲が良くていいじゃないですか」
「それ本気で言ってんのか?」
「三木さんが本当に嫌じゃないなら、小野さんに上手くべたべたする方法を教えて貰いたいくらい本気ですよ、俺は」
「何言ってんだよ、お前が誰とべたべたすんだっての。人を寄せ付けないオーラ出しまくってるくせに」
「俺ってパーソナルスペースが広いんですかね」
「で? そのパーソナルスペースに入れる希少種は誰なんだ?」
希少種って。言い方。
「雪田ですよ。俺、雪田のこと独り占めしたいんです。小野さんが三木さんにするみたいに。俺以外見えないようにしたい」
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