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4限はお互いテストがあるため、雪田とはカフェで別れた。それから4、5限とテストを受けて、やっと夏休み突入だと内心ウキウキしながら歩いていた。
そして、もうすぐ大学の敷地から出るというあたりで声を掛けられた。
「竹下」
「……あ、三木さん。お久しぶりです」
「ほんとだよ。お前ももっと部室来ればいいのに。霧島もモト達も結構入り浸ってるぜ?」
「え、モトって?」
「1回生の橋本だよ。面識くらいあるだろ?」
「あー。えーっと、橋本……ってどんな奴でしたっけ?」
「おいおい。来週海行くっつーのにお前……いい機会だから今の内に教えとくわ。当日になって誰だっけ? とか言うなよ、絶対」
「ありがとうございます。助かります」
そのまま三木さんと一緒に下校する流れになった。三木さんの歩調はゆっくり目で少し調子が狂う。身長差があるせいだろうか。
「橋本は俺と同じ法経で、俺と同じくらいの背丈の奴。で、あだ名がモト」
ちょうど三木さんの身長について考えていたところだったので、少し焦った。三木さんと同じくらいということは、小さめの1回生が橋本と覚えておけばいいだろう。
「で、新見は確か史学科だったかな。新見の特徴は、そうだな……チャラい。ぱっと見が頭の悪そうな奴が新見だと思え。あだ名はニーナだ」
把握。
小さいのが橋本。頭悪そうなのが新見。
「あと雪田は、教育で……」
「あ、雪田は分かります。何度か話したことあるんで」
「そうか。じゃあ、大丈夫だな」
「ちなみに雪田の特徴は何て教えてくれるつもりだったんですか?」
雪田が周りからどう思われているのかが気になって聞いてみた。たぶん、良いところを挙げられるはずだ。
「髪が黒い奴。モトとニーナは髪明るいから」
「そ、うなんですか。へー……」
「何だよ。何か不満か?」
「いやー、何かもっと他にないのかなって思って」
雪田の特徴を挙げるのに『髪が黒い奴』はないだろ。確かに黒いけど。
いい奴そうとか、爽やかとか、優しそうとか、笑顔が印象的とか、何かそういうやつ。
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