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「そんなこと聞いてどーすんの? 気になる?」

「気になるよー?」

「キスはないけど、ヤったことはある」

「えー? すっごい変だねー。何でキスはしないの?」

「気持ち悪いから。相手の唾液が口に入るでしょ。想像しただけで耐えられない」


 他人の唾液が俺の口に入る……ゲロ吐く。ていうか、他人とそんな顔近付けたくないし。きもい。きもすぎ。
 キスって何ですんだろ? 好きだったらしたくなるの? それってどういう感じ? キスしたくなったら、『好き』?


「ふーん。潔癖なんだねー」

「かもね」


 雪田は、どうなんだろう? キスはしたことある? 好きな女とキスしたいって実は思ってる? 
 ふと雪田の方を見ると、まだ女と楽しそうに話していた。でも、何か違和感がある。笑っているけど、なんか違う気がする。
 俺は立ち上がって、雪田のそばまで行った。雪田の後ろにしゃがんで、声を掛ける。


「雪田。もしかして具合悪いの?」

「え……っ」

「飲みすぎた? 吐く?」

「えっと……実は、ちょっと今朝から調子悪くて。でも全然平気っすよ。大丈夫っす」

「おいおいユキー、無理すんなよー?」


 じゅんぺーが気遣う言葉を掛けるのを見てか、女共が一斉に『大丈夫ー?』とか言ってる。それ本気で思ってねえだろ。そう言ってる私優しいアピールだろ。うぜえ。


「じゅんぺー。俺、雪田連れて帰るわ」

「おー、頼むわ。もし何かあったら連絡しろよー?」

「サンキュ。これメシ代。多かったら二次会にでも使って」


 ケツのポケットからサイフを出して、万札を手渡す。


「おい、こんな貰えるかよ。お前何も食ってねえじゃん」

「酒は飲んだよ。あと雪田の分」

「えっ! 俺、自分の分は自分で……」

「あとで返してくれればいいから。ほら帰るよ。歩ける?」


 雪田の鞄を先に手に持って、反対の手で雪田の腕を掴んだ。意外と太い、しっかりした男の腕。


「はい、大丈夫っす。霧島さん、すいません。お先に失礼します」

「いーって。お大事になー」


 俺の挙動に少し困惑気味の雪田を連れて、出口に向かう。1人で帰れるとかって言い出す前に店から出たかった。


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