7-2
「はーい、席替えしよっかー。君たち」
じゅんぺーが俺と雪田の間にしゃがんで、肩を組んできた。雪田の肩に乗っているじゅんぺーの手がむかつく。雪田に気安く触んなって思ってしまう。
「男同士でいつまでもくっ付いてんじゃねえよ。女の子たちに失礼でしょうが。ってことで、ユキはこっち来なさい」
「じゅんぺー。俺、雪田お持ち帰りしていい?」
「血迷った発言はなしの方向でお願いしまーす。つか、ユキはあっちの女の子たちからすでにご指名だから、残念でしたー。早いもん勝ちー」
雪田がじゅんぺーに拉致られて席を移動してしまった。つまんねー。せっかく雪田の隣奪い取ったのに。俺は雪田が座っていた端の席に移動して、雪田の方を見る。
雪田は女と女に挟まれて構われまくっている。俺だったらあんな扱い絶対にごめんだけど、楽しそうに笑っている雪田。むかつく。お前好きな女いんじゃねーのかよ。ヘラヘラすんなバーカ。
「隣座ってもいーかな?」
いつの間にいたのか知らないが、女が聞いてきた。断られるとは思ってないらしく、答える前に座っていた。そういうとこがうざい。もしこれが雪田だったら、きっと俺がいいと言うまで座らないだろう。そもそも、座っていいと言われる前提でグラスを持って来たりもきっとしない。
『いいんすか! じゃあグラス持ってくるっす!』
とか言って、嬉しそうにヘニャっと笑って、急いでグラス取りに行くんだろうな。そういう距離感がいい。雪田との間に作られた壁が、俺にとっては心地良いし、逆にそれを壊したいとも思わせられる。
「ねー、コウ君だっけ? 彼女いるの?」
何で女ってすぐ彼女がいるか聞いてくるんだろうか。合コンという場だからという訳ではなく、どんな場合に置いてもだ。少し話しただけで仲良くなったような気になるのか、すぐに『彼女いるの?』って言う。いないって答えると返ってくる言葉も一緒。
「彼女なんかいたことないよ」
「えー、それ嘘でしょー」
これ。だから俺もいつも同じことを言う。
「出会いが無いんだよね。付き合いたいと思えるような女に会ったことがない」
お前もだよ。だから、どっか行けよ。そういう意味で言ってんだよ。
しかし、女ってやつは結構図太くできている。そういう自分に自信を持ってる女ほど、うざい。
「じゃあ、コウ君はキスとか何もしたことないってこと?」
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