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昼休みに学食へ向かっている途中で、じゅんぺーはやっと思い出したらしい。
「そうだ! ユキから昨日の晩のこと聞き出すんだった。今から呼ぶぞ! 面白くなってきたっ」
いや、面白いことになってんのはお前の頭ん中でだけだから。じゅんぺーの想像では、雪田はどんな一夜を過ごしたことになってるんだろうか。
じゅんぺーからの着信を見た雪田はどんな表情をしただろう? 出る時はどんな声を出した? どんな顔で学食に来るんだろう?
なぜだか、すごく気になってしまう。
「お! ユキ! こっちこっち!」
学食の入り口をまだかまだかとじーっと見ていたじゅんぺーが、雪田の姿を確認した途端にでかい声を出して呼んだ。
ちょっと引きつった顔をしていた雪田が、俺と目が合った瞬間に少しホッとしたように見えたのは気のせいじゃないはず。
「こんちわっす。霧島さん、昨日は急に抜けてすみませんでした」
「いやいやいいんだよ? とにかく座って、昨日あれからどうなったか教えてくれればそれで」
からかう気マンマンのじゅんぺー。何とか助けてあげないといけない。元はと言えば俺のせいだし。
「雪田。先に昼メシ買って来たら? 話は食いながらでいいじゃん」
「だな。よし、早く買って来なさい!」
「……行って来るっす」
『このまま逃げてえ』って顔してる。
つい笑ってしまいそうになるが、俺は昨日何があったか知らないことになっているので、何とか堪えて雪田を見送った。
「つか昨日何かあったの?」
しれっと聞く。俺は何にも知りませんよアピール。
「それがさ、聞けよ! 昨日話してたユキが片想いしてる子いんじゃん? その子から電話掛かってきて、合コン抜けるって言って帰ったんだよ、昨日!」
「まじで? 雪田がその女からって言ったの?」
「言ってないけど絶対そうなんだって! だってめっちゃ嬉しそうに電話しててさー、今すぐ行きます! っつって立ち上がってんだもん」
そんなだったんだ。相手、俺なのに。そんな仲良くなかったよね、俺ら。
何でこんな気持ちになんの。何なんだろこれ。雪田のせいで俺、昨日からおかしくなってるよ。
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