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 竹下さんの車から降りてきたお二人は、どこかくたびれているような感じで、ああやっぱり会いになんて来るべきじゃなかった、と思った。それでも竹下さんの顔を見ると呼吸が浅くなるくらいに舞い上がってドキドキしてしまう俺はどうしようもない。


「ニーナ、ちょっと来い。小野さん、キーいいっすか」


 ニーナの手首を掴んだ手と反対の手で、投げて渡された車のキーを受け取り、霧島さんとニーナは霧島さんの車の後部座席へ乗り込んでしまった。あれってもしかして、すげー怒ってるんじゃ……と顔を青くしていると、竹下さんの手が俺の頭に乗った。


「大丈夫だよ。心配しなくてもケロッとした顔で出てくるはずだから」


 ポンポン、と優しく髪を撫でられる。気持ち良くて、嬉しくて、恥ずかしくて、返事も出来ない。せっかく気遣ってくださっているのに。


「竹下ー、俺らあっちの方行ってるわー。またあとでなー」


 小野さんの声が響く。……えーっと? いきなり別行動? しかも竹下さんと2人きり? なんだこれ。竹下さんと2人で初日の出見られるとか。皆さんありがとう!


「寒いから俺らも車乗らない?」

「え、あっはい!」


 竹下さんの車に乗るのってめちゃくちゃ緊張するんだよな。幸せなんだけど、ドキドキしすぎて疲れるというか……。


「あ、ここじゃ見えないかも。あっちの方結構明るいもんね。もう出てんじゃないかな? 見に行く?」


 竹下さんが指差した方向は、小野さんと三木さんが向かった方で。お二人のお邪魔をするのは嫌だし、それに……。


「俺、ここがいいっす。竹下さん、ちょっと髪濡れてるし風邪引いちゃったら嫌っす」

「ごめんね、ありがとう。さっきシャワー浴びたばっかでさ。外寒くてやばかった」

「もしかして、あんまり寝てないんじゃないすか? すいません、誘わない方がよかったっすよね……」

「そんなことないって。今日は作業ないし、帰ったらまた寝るから。っつーか、れおがそうやって気遣ってくれてたとしてもさ、結局じゅんぺーに引きずって来られてたと思うし」


 竹下さんと霧島さんって本当に仲が良いんだな。いいなあ、羨ましい。お互い本音で付き合ってるっていうか。俺は、やっぱり距離置かれてる感じするもんな……はっきりと避けられてる訳じゃないけど、あの時から竹下さんの本当に笑った顔、見れてない。


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