23-2
「メシ食いに行こうぜ。っつーか、相談乗ってくれよ」
夏休みが終わって、後期の授業が始まった。じゅんぺーとはほとんど同じ時間割になってるから、大体、二人で行動してる。じゅんぺーは俺の気分とかそういうの上手く理解してくれるから楽でいい。
「相談って?」
「今日の合コンのメンツ。男が微妙なんだよ」
「俺も行けばいいの?」
「お前さえ良ければ」
嫌だって言ったって、なんだかんだと俺が行くように話を進めるくせに。それが不快じゃないから、じゅんぺーは不思議な奴だ。
「お。ユキ」
食堂の入り口近くに雪田がいるのが目に入った。誕生日を祝って以来だ。
「コウとユキがいりゃ完璧だな! おーい、ユキー!」
呼びかけられて俺たちに気が付いた雪田が、一緒にいた奴らに何かを言っている。たぶんそいつらと別れて、こっちに来る気なんだろう。雪田らしい。例え友人といても先輩から声を掛けられたら来るんだ。
雪田がこっちを見てない内に、俺は席を立った。
「雪田が来るなら、俺は行かないから。次の教室、先に行ってる」
雪田とすれ違う。俺の方を見ているだろうけれど、あえて視線を合わせなかった。
「あの……っ」
声をかけてくれたのを無視して、食堂から出る。会いたいのに、会いたくない。声が聞きたいし、話もしたい。笑顔を見たい。でも、今は逃げるみたいに避けることしかできなかった。
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