なんや。ちゃうんかい
その晩、結城は帰って来んかった。
と思ったら、朝起きた時にはいつも通り同じベッドで寝とった。
……いつの間に?
結城が布団に入って来ても気付かんと寝とれるくらい、俺は結城の存在に慣れきっとるってことか?
いやいや普通気付くやろ。おかしいおかしい。だって俺、思いっきり抱き締められとんのに!
「……結城」
起きて欲しいような、このまま寝顔を眺めてたいような。離して欲しいような、ずっと抱き締められてたいような。
「ん……」
眉間の皺とか、かすれた声がエロいと思ってしまった俺は変態ですか?
「……花月」
その笑顔は反則ちゃいますかね! なにそれ! 何なんこれ! そんな甘ったるい顔とかしたらあかんのとちゃいますかね! っていうかやめて下さいお願いします! ……くそ、眩しい! イケメンの寝起き笑顔が眩し過ぎる!
「何で今目ぇ逸らした? 夕べのこと怒っとんか?」
「え、ちゃうちゃう! 朝っぱらからかっこええ顔やなって思っただけ!」
「は? 何言うとんねん、アホか」
俺もそう思う。何言うとんねんアホか俺! 感情ダダ漏れか!
自分のダダ漏れ発言にげんなりしとる内に、結城は上半身だけ起こした。手のひらで目を押さえるようにして揉むのが眠い時の結城の癖らしいと最近分かってきた。ふと、その手を止めて結城が俺の方を向く。
「お前、俺の顔が好きなんか?」
「……ぅええ!?」
「たまにかっこええとか言うてくるやんけ。なんや。ちゃうんかい」
ちょっと残念そうに見えるのは気のせいか?
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