アホボケカス
「……?」
キスする言うてちょっと顔を近付けてきたと思ったら、そこで結城が固まった。今までにない反応に不思議に思う。
「……どうし……!」
声がおかしい。反射的に手で口を塞いだ。なんで? なんか、エロい声……出た?
「……どうしたは、こっちの台詞やろ。エロい顔しやがって」
……顔もかい!
「そんな顔しとったら、何されても文句言われへんぞ。風呂でも入って、いつものアホ面に戻してこい」
「あ、アホ面ちゃうわ! ほな風呂先もらうで!」
俺は結城の膝から飛び退いた。ダスダス足音がするように歩いて風呂場に向かう。照れ隠しや。ほんで、風呂は2回目。
「……何されても文句言われへんか」
とりあえず、風呂に入ると言ったからには入らんわけにいかん。今さらもう入ったとは言えへんし、すぐに結城の前に戻る勇気もない。第一どんな顔してええんかわからんしな。
「何されても、やいやい言わんけどな。もう」
……自覚してもうたんやから。
っちゅーかやな、エロい顔しとったら何もしてこんてどないやねん。そんなにキモかったですか、そうですか!
……アホボケカス。
「……あかん。……やっぱ、好きになってもうたー……」
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