アホボケカス




「……?」


 キスする言うてちょっと顔を近付けてきたと思ったら、そこで結城が固まった。今までにない反応に不思議に思う。


「……どうし……!」


 声がおかしい。反射的に手で口を塞いだ。なんで? なんか、エロい声……出た?


「……どうしたは、こっちの台詞やろ。エロい顔しやがって」


 ……顔もかい!


「そんな顔しとったら、何されても文句言われへんぞ。風呂でも入って、いつものアホ面に戻してこい」

「あ、アホ面ちゃうわ! ほな風呂先もらうで!」


 俺は結城の膝から飛び退いた。ダスダス足音がするように歩いて風呂場に向かう。照れ隠しや。ほんで、風呂は2回目。


「……何されても文句言われへんか」


 とりあえず、風呂に入ると言ったからには入らんわけにいかん。今さらもう入ったとは言えへんし、すぐに結城の前に戻る勇気もない。第一どんな顔してええんかわからんしな。


「何されても、やいやい言わんけどな。もう」


 ……自覚してもうたんやから。
 っちゅーかやな、エロい顔しとったら何もしてこんてどないやねん。そんなにキモかったですか、そうですか!

 ……アホボケカス。


「……あかん。……やっぱ、好きになってもうたー……」


- 63 -



[*前] | [次#]
[戻る]


×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -