……ああ……はい。あります、ね。
「……へ? やめた? 俺がですか?」
幹部会とやらで関東に連れてかれた先から帰ってきたのが昨日。俺はバイト先に電話をかけた。親父が死んでからしばらく休みを貰ってたから、とりあえず落ち着いたし復帰するって伝えるためやった。
……のに。俺はいつの間にか退職しとったらしい。って、そんな訳あるかーい! とか言うとる場合ちゃうくて!
「俺は辞めるなんか一言も……はい……ああ……はい。あります、ね。はい。……ああー、……分かりました。ありがとうございます。……はい、失礼します」
電話を切る。状況を把握。
「結城ぃー!!」
「うおっ! え? ど、どないしはったんですか」
「山下さん、結城は?」
「組長やったら先ほど出られましたけど」
クソ。逃げられた。
「何ですか? 急ぎやったらかしらに伝言しますけど」
「知らん間にバイト辞めさせられとった」
「ああ。そのことやったら組長が必要無いからって仰ったんですよ」
「無い訳ないでしょ! 学費払えんなるし、第一いきなり辞めたらバイト先に迷惑かかるし!」
「学費はもう納入しましたよ。花月さんのご自宅に振込用紙があったんで、前期分と後期分。あとバイトなんですけど、実は花月さんの行ってたバイト先がうちの系列というか、まあ、関係のあるとこで、全く問題ありません」
……学費を払った? 系列店?
「卒業するまでの学費は組長が出すって仰ってましたし、バイトする必要無いでしょう?」
「何でそんなことまで……ああー、クソッ! 何やねん!!」
惨めな気分ってこういうことか。
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