はい?




 出社して、自分に用意された役員室のデスクに座った。役員なんか言うても、かしらのサポートくらいしか俺にできることはないんやけど。
 座ってから一息ついて、コーヒーを淹れた頃に、部屋のドアをノックされた。


「はい」


 返事をすると入って来たのはかしらやった。俺はすぐに立ち上がって、挨拶をする。


「おはようございます、かしら」

「おはよう。早速で悪いんだけど頼まれてくれる? 結城がまた面倒を言い出して参ってる」

「はい。何でしょう?」

「事務所を建てたいんだって。どの辺りにするかとかイメージは固まってるみたいだから、それに沿うようで、且つ私が望むような形にして欲しいんだ」

「努力はしてみます」

「それでいい」


 そう言って、かしらがソファに腰を下ろした。まだ何か用があるんやろうか。とりあえず、コーヒーをかしらの分もカップに淹れて出した。


「ありがとう」


 かしらがコーヒーに手を伸ばしたんを確認して、俺も向かいに腰を下ろす。コーヒーを飲みながら俺の顔を見て含み笑いをするかしら。何となく良くない話をされそうな気がして、俺は居住まいを正した。


「今朝、君が出社して間も無くのことなんだけど」

「はい」

「君に会いたいって言う青年が受付に来たらしいんだ。アポは無かったみたいで、もちろん門前払いだったんだけどね。念のためということで、私に報告があった」

「わざわざそんなこと。ご面倒をお掛けして申し訳ありません」

「いや、うん。堅物な風見をからかうネタになるかなと思って実は会って来たんだよ。さっきね。だからわざわざ話してる」

「はい? 何でそんな危険なことをしたんですか。かしらは武闘派やないんですから、滅多なことせんとって下さい」

「それは大丈夫。盾替わりに結城を連れて行ったから」

「何を……!? 組長に危害を加えられたらどないするんですか!」

「結城も面白がってたし、いいでしょう。というか、本題はそこじゃないんだよ」


 軽い……軽過ぎる! 確かに組長に危害を加えられるような手練れはなかなかおらへんにしても。鈴音さんみたいな見た目と裏腹な人間かっておるんやから。用心してくれ!
 そもそも俺をからかうネタなんかのために……!


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