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 次の日の放課後。1年C組の教室に数人の生徒と、柏原がいた。その中には灰司とハリーの姿もある。


「よし。お前ら7人がコスプレ要員だ。まず言っとく。伊坂と早乙女とハイジは女装。拒否権はねぇ」

「はぁー? 嫌に決まってんじゃん」

「だからよ、お前らに拒否権はねぇの。伊坂はチャイナ。早乙女はメイド。灰司はセーラー。あと藤原が軍服……」


 次々とコスプレを命令していく柏原。軍服を命じられた藤原とはハリーの本名である。
 チャイナ、メイド、セーラー、軍服、和装、執事、ホスト。卒業祭が2月の末にあるため露出はほとんどないが、それぞれに合ったコスチュームであると思われる。


「セーラーなんかやだってー。俺も和服がいいー」

「……。よし、いいぜ。それ以上の変更はねぇぞ」

「マァジかよー。サンキュー!」

「他は? 異論ねぇな?」


 7人の顔を順に見る柏原。生徒たちは半ば諦めている様子で、反論する者はいない。と、そこへ大きな声で異論を唱える生徒が現れた。


「何で俺がホール担当じゃねぇんだよ!?」


 マッチだ。


「顔がいい奴だけっつってんだろ」


 柏原に一蹴されるマッチ。マッチは呼び込み係に決まっている。

 ホール、調理、レジ、呼び込み。それぞれ担当が割り振られ、1年C組の生徒たちは準備に勤しんだ。最も重要な衣装調達担当は、言い出しっぺの柏原だ。
 灰司はまだ、『和服がいい』と言ったことを後悔するとは知らない。


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