ボク達おとこのこ
「うん。ない」
「はぁ!?」
銀さんが驚愕の声を上げると同時に電話からも『えぇ〜!!』と大きな声が聞こえてくる。それから、会長の『うるさいぞ。いい加減にしろ馬鹿共』というお叱りの言葉も頂いた。
「お前いくつだよ!」
「再来月16になる」
「真面目に答えるとこじゃねーよ。んー……、俺は中1か中2くらいにはオナってた気がするけどなぁ」
『僕は初等部の時に夢精したよ〜』
「えぇ!? 小学生で!?」
「マジか。幸介やるなぁ、おい」
オナニーやら夢精やら、何の話をしてんだ、俺達は。真面目に張り込みをしてるのは会長だけなんだろうなぁ。
「俺って、もしかしなくても、遅れてる?」
「おう。あ、いや、わかんねーけどよ。でも勃起したことねーって奴は聞いたことねーな。つか、中学高校だったら野郎なんざ性欲しか頭にねーくらいかと思ってた」
「……それ、銀さんだけじゃね?」
『僕もそうだけど〜? 少なくとも1週間に1回はセックスしてるよ、僕。圭ちゃんもオナニーくらいはするよねぇ?』
『俺に振るな!』
『可愛い後輩のお悩み相談会なんだから、真面目に答えてよ〜』
『黙れ!』
どうやら、銀さんも幸ちゃん先輩も会長も一様に性欲はあるらしい。
「まさか俺、不能、とか……かな?」
『まっさか〜! 確かに、高校1年生で精通がないっていうのは遅れてるように思うけど、個人差はあるはずだよ〜?』
「そ、かな?」
『大丈夫だよ〜。心配なら今度、僕がしてあげてもいいし〜! ね? 考えすぎるとよくないよんっ』
そんなこんなで、俺の思春期お悩み相談会は朝の訪れとともに終わった。
見張りには、あまり集中できなかったけど、誰も来なかった……はず。
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