作戦会議




 しばらくすると、3番隊隊長がカップを4つ乗せたトレイを持って、キッチンから出てきた。会長、1番隊隊長の前にコーヒーを置く。


「お前にはコレ」


 あれ? ココア?


「お前が食堂でデザート食いまくってるって噂聞いてな。甘いの好きなんだろ? うんと甘くしてあるぞ! 悠仁仕様だ」

「ありがとう!」


 ニカッと笑った3番隊隊長。俺も甘味を目の前にすると抑えられないニヤけ顔で応える。うきうきしながらココアに口を付ける。


「うまっ! めちゃ甘い! うますぎる〜」


 なんじゃこりゃ! 何入ってんだこれ! まじうまー!


「うぇ〜。僕ひーちゃんと同じココアなんか飲めないよ」

「……同感だ」


 1番隊隊長と会長が眉をひそめている。
 そして、3番隊隊長は自分の分のコーヒーを置いて、トレイを床に下ろし、話を元に戻した。


「で、友好条約の話じゃねぇなら何?」

「あぁ」


 会長は先ほどまでの俺との会話をかいつまんで、2人に説明した。


「それで今夜、時計塔と管理棟をそれぞれ2人ずつで見張ろうと思う。今夜現れなければ、現れるまで」

「ふーん。それを聞いた限りでは寮内を盗撮してた奴が、たまたまリンを見つけて撮ったって感じに思えるな」

「僕もそう思ーうっ」

「まぁ、どうであれ捕まえて事情を聞く。見張りは、何があるか分からないから一応体格を考えて、俺と幸介、リンと銀次が組になってする。異存は?」

「ないよんっ」

「俺も」

「リンは?」

「組み合わせに異存はないよ。張っている間の連絡手段は?」

「携帯を常に通話状態にしておく。液晶が光らないよう、寮内から繋げたままで行く」

「管理棟から時計塔まで走って何分かかる?」

「遅くても5分かからないだろう」

「それくらいなら、まぁ援護も早いか」

「あぁ。じゃあ最後に……怪しい人物を見つけたら、接触する前に必ず援護を呼ぶようにしろ。相手が盗撮目的の1人の人間だと決めつけるな。自分たちの安全を第一に考えろ。そのために相手を傷つけてもかまわない。分かったな?」

「はい」


 1番3番隊隊長が声を揃えて返事をする。俺は慌てて返事をした。


「あ、はい」


 なんだこの真剣な雰囲気は。俺、浮いてる?
 gadgetって抗争の時とかこんななんかな。真面目だ。いつもノリで行っちゃううちとは大違い。


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