思わぬ展開




 考えを巡らせていると、会長が口を開いた。


「その角度を見たと言った画像、今持っているか?」

「あぁ。これだ」

「……これは初めて見るものだな。確かに管理棟から撮ったものとも思える。だが、時計塔からかもしれない」

「時計塔?」

「あぁ。俺は時計塔に上ったことがないから確かなことは言えんが、可能性はある。鍵などはないから上ってみるといい」

「わかった! ありがとう!」

「だが、管理棟にしてもそうだが、もし時計塔から撮ったのだとしたら……精度の高いカメラを使わないと無理だ。携帯のカメラで撮れる距離じゃない」

「つまり、撮った人間はそんなカメラを持って管理棟か時計塔にいたって訳か……。朝の、6時に」

「カメラを持っていたのが、たまたまということはないだろうな」

「なにかを撮る目的があって……?」


 まさか寮の室内の隠し撮りとか? 正面からならかなりの数の窓がある。


「常にカメラを持っている人間なのかもしれんが、閉寮時間の外出は何にせよ禁止だ。見つけ次第、処罰を加えないとな」


 ……それは、俺も含めて……だよね?


「……えへ」

「まぁいい。今回は見逃してやる。俺も人のことは言えん」

「だよな!」

「調子に乗るな。とにかくこのことは早急に調べたい。……今から役員と張るか」

「俺も協力する!」


 麻薬取引じゃないかもしれないけど、確かめて損はない。もし、そこが麻薬取引に使われていた場合、大事にならないようになんとかフォローしなきゃだし……。

 つーかほんとは俺1人でやりたい。


「まぁ、何かあったときの戦力にはなるな。いいだろう。今、幸介と銀次を呼ぶ。この2人になら姿を見られても問題ないな?」

「うん、ない。戦力が必要ならタロも呼ぼうか?」

「……アイツはいい。扱いづらい」

「そう? 強いのに」

「それは分かっている。だが加減を知らぬ馬鹿者だ。人数が多くなるのもいいことではないし」

「それは確かに」

「納得したなら、2人を呼ぶぞ」


 キヨが立ち上がって、充電器から携帯を取り、電話をかけ始めた。


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