任務、任務。
SIDE:鈴音
放課後、空牙を先に帰らせて、一般棟をフラフラと見回る。
……ふーむ。一般棟には空き教室ってのはないのか。2・3・4階はホームルーム教室しかないし、1階は校長室と事務室と職員室と保健室しかない。5階は生徒会室と図書室だけ。
昼間はどこも人が大勢いるし、夜は完全に施錠される。決めてかかるのはよくないけど、一般棟での取引はないと見てもよさそうだな。
一般棟の見回りを終え、今度は特別棟を1フロアずつ見ていく。
1階は学食だけ。2階は200人程度入れる大教室が1つと50人程度入れる教室が2つ。3階は理科実験室と生物室と科学室と技術室と書道室。4階は音楽室と家庭科室とパソコン室。
全室使用する授業時間以外は施錠されてるし、学食は昼休み以外締め切り。
おそらくこっちもないな……。じゃあ、どこなんだ?
管理棟は絶対にないと言ってもいいだろう。あそこは特別カードキーがなきゃなにもできない。
……校舎じゃないのか?
だけど、昨日出回った俺の写メ……。あれは確かに高いところから撮ったものだった。
そうか! 写メ!
あれを撮った場所を特定すればいいんじゃねぇか。俺はブレザーの内ポケットから鈴音用の携帯を取り出した。
小麦たちは横顔が写ってるズームした方ばっか見てるけど、俺は全体が写ってるあんまズームしてない方を保存させてもらったんだよなー。これなら撮った場所を特定しやすいし。
……あれ? これは特別棟から撮ったんじゃないな。一般棟でもないだろう。角度的にもっと寮の正面からだ。
管理棟? いや、そんなはずは……。管理棟に入れるのは特別カードキーを持った……いや、撮った人間がカードキーを持ってないとなぜ言える?
特別カードキーを持つ人間の把握すらしていないくせに。
そうだ。生徒会長にまで写メが回るとは、なんて思ってたけど……撮った奴が役員なら?
……確かめてやろう。
とりあえず寮に帰って、行動すんのはそれからだ。
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