お開き
「もうこんな時間か。ごめん、タケさん。長居しちゃって」
時計に目をやると、いつの間にやら朝の5時半になっていた。呑んだらえぇやんの閉店時間は4時なのに。メンバーの中には、もうダウンしている者もチラホラ。
「おーい! そろそろお開きにすっぞ。また来るからよ、みんなで前みたいに遊ぼーぜ!」
「あー、せやせや。リンがおらんなってからどーしょーもない奴らがまた増えたからな。前みたいに潰してったれ」
「だってよ。お前ら、やるだろ? リンがいない間ウズウズしてたもんなぁ?」
タロの問いかけにメンバー全員が雄叫びをあげる。
「よっしゃー! また族潰し始めっぞ。とりあえず土曜日に来れる奴、またここに集合。9時になったら外に出るからな。来る奴は徹也に連絡しとけ」
さらに大きな雄叫び。
「はい、じゃあ今日は解散!」
「電車でえのーやちおったら、しに迷惑かけないやねの」
…………?
といった感じの店内。でもとりあえず、『電車』『迷惑かけない』は分かったから、俺もかろうじて意味は分かった。
メンバーが、俺を始め、タロやカズに挨拶をしてゾロゾロと店から出ていく。うちに上下関係はないけど、やっぱ俺ら3人は一目置かれているらしい。
「で、タケさん。お勘定いくら?」
「おぉ、結構やで? 12万2300円や! 約束通り2300円まけたろ」
「値引き少な! ……てか、この店で12万って、あいつらどんだけ食ったんだよ」
「その内の約2万はお前1人で食うとんやぞ、リン」
「……マジでか」
「お前ほんによーけ食うのぉ」
「そんなとこもすっごく可愛いよ!」
「はい、12万。ごちそうさま! それとさ、ここらで一番でかくて潰した方が良さそうなチームってどこ?」
「はい、まいど! 12万円確かに頂戴しました! 潰した方がえぇチームなぁ……まぁ一番でかい言うたらgadgetやけども、潰すんやったらやっぱ『BB』ちゃうか。はっきりした人数は知らんけど、もしかしたらgadgetより多いかもしれん」
「BBね。サンキュ! じゃあ俺らも帰るわ」
「おぅ! また来いや」
「俺リンの荷物取ってくるね!」
座敷の奥にまとめて置いていた俺の大量の荷物をタロが取りに行ってくれた。
「サンキュー、タロ。外で待ってるわ。またねー、タケさん」
「タケさん、リン、よばれっしもて、だんだん!」
俺とカズが店から出る。カズは自分のバイクに跨り、『じゃあ土曜にの』と行って帰って行った。
そのあとすぐタロが店から出てきて、俺達もまたバイクに乗り、学園へと戻った。
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