ダ……、ダサ




 7時頃、俺は玄関で靴を履き、リビングにいる空牙に声をかける。


「じゃあ俺出掛けてくるから。また朝になると思うけど心配しなくていーからな。行ってきまーす」


 1206号室を出てタロのいる1310号室に向かった。エレベーターが13階に着いて扉が開いた時、ちょうとそこにタロが立っていた。


SIDE:狼

「あっ、鈴音! 今迎えに行こうとしてたとこなんだ」


 以心伝心!
 運命じゃん!


「そーか。じゃあ行こうぜ!」


 エレベーターに乗り込んで、1階へ向かう。制服ではない鈴音の姿を見た俺は、内心すごく不満があった。

 リンの私服って、こんな感じじゃなかったよな……。これじゃあ、なんか地味っていうかダサ……い。いや、まぁリンの可愛さは俺だけが分かってればいいんだけど。
 でも総長としてこのダ……地味さはどうなんだろ? ダメじゃね? 示しがつかねぇっつーかさ。


「あぁ、そうそうタロ! ちょっと服とか色々買うからさ、付き合ってくれよ?」

「うん、もちろん!」


 なーんだ。心配する必要なんかなかったか。つーか2人で買い物って……デートみてぇ!

 1階の管理システムの前まで来た。これを普通にカードキーを通した上で出れば、門限を守らなくてはならなくなる。とかって鈴音は真面目に考えてるみたい。


「どうする? 普通に出る訳にはいかねぇし」

「飛び越えればいいよ」

「ばか。こんなに人がいるのにそんなことできねぇよ」

「あぁ、それなら俺に任せて? ……んだテメーら。こっち見てんじゃねぇよ。殴られてぇのか? ア゙ァ!?」


 俺の声がロビーに響き、ジロジロと見てきていた奴らが目を逸らす。俺の鈴音をジロジロ見んな。
 鈴音はその隙に管理システムを飛び越える。そんなに気にしなくても誰もチクったりしないのに。正面扉から外へ出ると少し呆れた顔の鈴音が待っていた。


「お前のそういうのが役立つとはなぁ」

「へへ〜!」

「さっ、行くぞ」


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