人間じゃないさー
「ってコラコラコラコラ! やめろ!」
と、そこで空牙の制止が入った。これ以上タロに接近しないように俺の頭を手で押さえてくる。
「空牙ぁ、頭掴むな、離せ。俺のクリーム! 俺のカスタードクリーム〜」
早くしないと溶けてなくなるだろーが!
「俺が好きなもんおごったるさかい! 人の舌から舐めとるんはやめとき! な?」
タロの舌にあるクリームと一郎の顔を交互に見比べて思案する。『好きなもんおごったる』……。少量のクリームより……でっかいパフェ!
「タロ、それ飲み込んでいいぞ」
「……チッ!」
タロは出していた舌をしまった。俺は早速タッチパネルでどのパフェにするか考え始める。
「テメー等……覚えてろよ……?」
「ぼぼ僕は関係ないさーっ!」
なぜかキレ気味のタロ。焦っている小麦。しかし、今はそんなことはどうでもいい。世界はパフェを中心に回っている!
「一郎! 食後に苺パフェ頼むな! LLサイズ!」
昨日食べた苺パフェがかなりうまかった。マジで苺がうまかったー! 是非もう一度! もう一度食べたい!
「あーあーなんでも頼んだるよ」
初対面のように振る舞ってはいるが、本当は幼少からの付き合いだ。俺が異常なほどの甘党で大食漢であることを承知している一郎は、自分の近くにあるパネルで言った通り、苺パフェのLLサイズを呆れながらもオーダーしてくれた。
「LLって特大の2.5キロ……。シュークリーム5個食べて、ごはん食べたあとに、2.5キロ……。人間じゃないさー」
食後、運ばれてきたジャンボ苺パフェにみんながドン引きしていた。こんな最高なものは無いはずなのに。
「きゃっほぅ! マジここの食堂サイコー!」
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