人間じゃないさー




「ってコラコラコラコラ! やめろ!」


 と、そこで空牙の制止が入った。これ以上タロに接近しないように俺の頭を手で押さえてくる。


「空牙ぁ、頭掴むな、離せ。俺のクリーム! 俺のカスタードクリーム〜」


 早くしないと溶けてなくなるだろーが!


「俺が好きなもんおごったるさかい! 人の舌から舐めとるんはやめとき! な?」


 タロの舌にあるクリームと一郎の顔を交互に見比べて思案する。『好きなもんおごったる』……。少量のクリームより……でっかいパフェ!


「タロ、それ飲み込んでいいぞ」

「……チッ!」


 タロは出していた舌をしまった。俺は早速タッチパネルでどのパフェにするか考え始める。


「テメー等……覚えてろよ……?」

「ぼぼ僕は関係ないさーっ!」


 なぜかキレ気味のタロ。焦っている小麦。しかし、今はそんなことはどうでもいい。世界はパフェを中心に回っている!


「一郎! 食後に苺パフェ頼むな! LLサイズ!」


 昨日食べた苺パフェがかなりうまかった。マジで苺がうまかったー! 是非もう一度! もう一度食べたい!


「あーあーなんでも頼んだるよ」


 初対面のように振る舞ってはいるが、本当は幼少からの付き合いだ。俺が異常なほどの甘党で大食漢であることを承知している一郎は、自分の近くにあるパネルで言った通り、苺パフェのLLサイズを呆れながらもオーダーしてくれた。


「LLって特大の2.5キロ……。シュークリーム5個食べて、ごはん食べたあとに、2.5キロ……。人間じゃないさー」


 食後、運ばれてきたジャンボ苺パフェにみんながドン引きしていた。こんな最高なものは無いはずなのに。


「きゃっほぅ! マジここの食堂サイコー!」


- 63 -



[*前] | [次#]
[戻る]


×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -