ガハハ!
「あーそうそう! 今日は授業はないが、ホームルームはあるから、その時にクラスに紹介するぞ! 自己紹介を考えておけ!」
「はい」
「どうだ! 始業式の間暇だから校内の案内でもしようか? ウチの式典は長いぞー?」
お前のおかげでサボれてラッキーだ! ガハハ! じゃないです。もうなんか話すの疲れました。勢いで萎えてきます。
「大丈夫です。あとで友達に案内してもらい……」
「もう友達ができたか! 誰だ?」
「ルームメイトの冴じ……」
「冴島か! 気をつけろよ! 掘られるぞ!」
……うーわ、直球だな。もうちょっとオブラートってもんに包もうぜ。
つーか、教師までゲイセックス容認してんのかよ。止めろよ。脱線しまくってんだろ。あらゆる意味で。
「あとは?」
「あとは2年の野田ろ……」
「野田か! 危ないぞ! あいつはヤンチャだからなぁ!」
もう会話すんの疲れる。かなり食い込み気味にくるのやだ……。いちいち言葉を遮ってでかい声で話すなよー。
「……大丈夫です」
「まぁ2人ともいい奴だからな! 仲良くしてやってくれ!」
「空牙はともかく、狼のこともご存知なんですか?」
「あぁ! 野田が他の生徒を殴りだした時によく止めに入るからな!」
「へぇー、先生喧嘩強いん……」
「違う違う! あいつをな、ガッと持ち上げて誰もいない所まで持ってくだけだ!」
「持ち上げる? 狼を?」
豪快だな。タロ、190センチ以上あるってのに……すげーな。持ち上げれるもんか? アレを。
「そうだ! 誰もいないところまで行くと、野田は大人しくなるからな! そういうことが続く内に、いつも迷惑かけて悪いとか、自分を止めてくれてありがとうって、ちゃんと言えるようになった。いい奴なんだ、あいつは! 人付き合いに慣れてないだけなんだ!」
「狼のこと、ちゃんと見ててくれてありがとうございます。先生」
俺ってば感動しちゃってるぜ……。タロに偏見なく接してくれる先生がいるとは。よかったな、タロ。
なんか、先生みたいな人がタロのそばにいてくれて安心したわ、俺。
「お前みたいな奴が野田の友達になってくれて安心した! よく見ててやってくれな?」
あ……同じこと考えてた。
なんか今、初めて好感を持てた気がする。
「はい!」
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