高田左ノ介




 朝食を済ませて、空牙とタロに職員室まで連れてきてもらった。始業式に出席せずに職員室に来るように言われたからだ。


「2人とも、もう講堂行っていーよ。案内ありがとな」

「おぅ。もしA組だったらよろしくな」

「鈴音、昼ごはんも一緒に食べようね?」

「たりめーだろ。タロ、始業式ちゃんと出ろよ?」

「わかった! お昼迎えに行くから、クラス分かったらメールしてね?」

「りょーかい。ほら早く行かねぇと遅れんぞ?」

「じゃーな、またあとで」


 微妙な距離感で歩く2人を見送り、理事長室なんかと比べると割合一般的な職員室の扉をノックしてから入室する。


「失礼しまーす。今日から編入する栗原ですけれども……」

「おー!! きたきた! 待ってたぞー!」

「え、あ、おはようございま……」

「おー! おはよーおはよー! まぁ、こっち座れ!」


 かなりグイグイ食い込んでくるな、おい!
 声でかい、顔でかい、口もでかいし、体もでかい。
 こりゃ、体育教師だな。


「俺が担任の高田左ノ介だ! よろしく!」


 高田先生が差し出した右手を握り返した瞬間に俺は握手に応じたことを後悔した。
 痛い! 手痛いから! 握力凄すぎだから!
 やっと離された手を見つめながら、来客用のソファに高田先生と向かい合って座る。


「お前のクラスは1年A組だ! 家柄も成績もトップの集団だぞ! 編入試験の結果、全教科満点だったらしいじゃないか! 難しいのによくやったな!」


 うん? 編入試験なんか受けてねーぞ。ま、高校レベルなら満点でも取れるかもしんねぇけど。


「俺の受け持ちの教科は数学だ! 期待してるぞ!」


 数学!? どう見ても体育だろーが。あんたジャージじゃん! ジャージにサンダルってモロ体育教師じゃん!


「あぁ、そうそう、囲碁部の顧問もやってるから、興味あったら入れ!」


 囲碁部だと!? 数学よりないわ。ジャージで囲碁って。俺が読んだ囲碁の漫画にはジャージの奴は出てこなかったぞ。


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