下調べ
「これで明日には届くんだよな?」
「あぁ。学校に行ってる間に部屋の前のボックスに入ってるはずだ。これで家具とか服とか色々頼めるぞ。ボックスに入らないくらいデカイ荷物の場合は寮長が執務室で預かっといてくれる」
「へぇー。あのデッカイ箱みたいなのはそのためにあんのか。じゃあ、注文終わったし、俺ちょっと用あるから出かけてくる。じゃあな」
「あ、おぅ……」
とりあえず、軽く調査しないことには今後どうするかも決まらない。
1階のロビーに下りて、他の生徒と同じようにソファに座った。そんな俺を、そこにいた他の生徒達は無遠慮にジロジロと見てきて、何かを話している。表情から察するに、確実に良い話ではないだろうな。
どこにでも紛れ込めると思って選んだオタクルックだったんだけど、こりゃ……かなり目立ってんな。みんな外見にはかなり気を配っているらしい。俺ってば浮きまくり。ダサさで逆に際立っちゃってる。
調査する時は、別の格好にしなきゃいけないな。やっぱりリンの姿で編入すれば良かった。
俺がロビーに来てから数十分。寮長が執務室から出て来て正面扉を閉めた。22時ジャスト。門限はしっかりしている。鍵は暗証番号のタイプ。開けるのは楽そうだ。
あの改札機みたいなのにしたって、絶対に通らなければ出られないという訳じゃない。横入りするのも、飛び越えるのも可能。
寮に誰がいるか管理するだけで、出られないようにするためのシステムではないということか。
これなら麻薬の売買は夜でも寮外で簡単にできるな。あとは、昼間の休み時間。放課後。時間と場所は十分にある。
思ってたより、やっかいだな……。
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