野田狼




SIDE:空牙

「待たせて悪かったな、空牙」

「遅かっ……げ!」


 野田先輩と出て行ったと思ったら……連れてきたのかよ。つーか連れてくんなよ。俺、この人マジで苦手なんだけど。
 野田狼と知り合いって、やばくね? 鈴音ってどんな奴か全く分かんねぇ。マジで掴めねー奴。


「こいつまだメシ食ってねぇんだ。一緒にいいだろ?」

「あぁ、もちろん」

「悪いねー、サエジマクン」


 わざとらしく君付けで呼んでくるし、ちゃっかり鈴音の隣に座りやがった。むかつく。つか悪いと思ってねぇだろ、あんた。


「本当にいいんですよ。あはは」


 どっか行けよ、マジで。


「なんだお前ら知り合いっつーか、仲いいん?」


 やっぱ鈍感かよ、お前は。
 どこ見てそう言ってんだ。


「そーだよ。前から知り合いなんだ、俺ら。ねぇーサエジマクン?」

「そうですね。部屋に来たりなんかしてましたもんね」


 かなりうっとうしかったよ。態度でけーし。いきなり絡んでくるし。


「え、マジで? タロが? お前が他人と仲良くするって珍しいな」

「ああ、うん。俺もさっき気付いたんだけどね、鈴音が今使ってる部屋、前に使ってたのカズだったんだよ」

「カズ!? マジ? あいつがここにいたの……ってかじゃあ、退学したのってカズか。あいつなんで退学したの?」

「鈴音探すために。ここじゃ寮則厳しくてあんま外出れないから」

「俺? なんで?」

「なんでってー、だってみんな鈴音に会いたいんだよ? あ、そうだ。カズに連絡してあげてよ」


 あ、知らねぇ話……。
 鈴音と野田先輩の関係って何なのかマジ気になる。どう見ても鈴音の方が立場が上みたいな接し方なんだけど。野田先輩が猫被ってて気持ち悪いし。


「だな! したらあいつここに戻ってくんのかな?」

「どーだろ? 戻れるなら戻ると思うよ。ねぇ鈴音、携帯の番号教えてよ。新しいの持ってるでしょ?」

「あ、俺も!」


 先輩……睨んできてもここは譲らねぇぞ。


「あー、携帯部屋にあるんだわー。あとでな」


 携帯不携帯かよ。
 しかもお前はさっきアップルパイのホールサイズを食べてただろ。なんで戻ってきて冷めきったメシ完食した上に、またデザート頼もうとしてんだよ。
 しかもチョコパフェLサイズってお前。


- 46 -



[*前] | [次#]
[戻る]


×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -