好きフィルター




SIDE:鈴音

 食堂にやってきた俺達は、寮長から教わった通り、他より断然人が少ない生徒会役員用の特別フロア下に座った。

 すでに入寮している生徒が多いらしく、食堂は半分ほどの席が埋まっている。それらの生徒の多くが、座る人の少ない席に着く俺と空牙を見てるっていうか睨まれてる……?


「なぁ、もしかして……空牙ってランキングってやつで上位なのか?」

「あ? あー、まあ」

「やっぱな。すげー視線だ。あーあ、いきなり寮長の言いつけ破っちまった」

「言いつけ?」

「生徒会役員と親衛隊がある奴に関わるなって」

「あぁ……でも俺の場合、ルームメイトなんだし、一緒にいるくらいいーだろ」

「うー、まぁ……な」


 できるだけやっかいな奴には関わらねーで、さっさと仕事終わらせたいんだけどなー。


「でも生徒会はだめだぞ。特に会長は親衛隊の規模がちげぇ。近づくなよ」

「おぅ」


 キヨの親衛隊ねぇ。まぁ、桜井財閥の御曹司となりゃ、金持ちお坊ちゃまの中でも格が違うわな。それにあの顔だし。天はあいつに二物も三物も与えちゃったらしい。不公平極まりないです。


「なぁ、メシ食うだけでこんなジロジロ見られてウザくねぇか?」

「慣れた」

「ふーん。今日は敵意の目ばっかだな、俺は。俺もこの視線に慣れねぇとな。空牙とダチになったんだし! これからも一緒にメシ食おーな!」

「当たり前。毎日な?」

「おぅ! 俺、今まで学校で同い年のダチってできたことねーから嬉しいわ」

「そーか」


 義務教育は受けてねーし、高校も通ってねーし、大学は同い年なんかいなかったしで、残念な人生だからな。
 こんな常識はずれの学園でも、高校生っつーもんになれたってのは嬉しいな。


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