その時、ソファは寝るものと決まった




 昼食を食べ終わり、また1206号室の前まで戻ってきた。


「分かったね? 絶対に部屋で眼鏡を外さないようにね?」

「分かりました。寮長、今日はほんとにありがとうございました。案内、助かりました!」

「いいんだ、そんなのは。部屋のお風呂に入る時は必ず鍵を閉めること! 大浴場は禁止! 分かった?」

「え、大浴場ちょっと行きたかったんですけど」

「だめ! 絶っ対、だめ!」

「……そんな必死に言わなくても……分かりました。大浴場には行きません」

「困ったことがあったら俺に言うように。いいね?」

「はい、ありがとうございます!」

「じゃあ俺は部屋に帰るから。本当に冴島には気を付けて」

「大丈夫ですって」

「そう願うよ。じゃあね?」

「はーい。ありがとうございましたー!」


 寮長は心配そうに一度振り返ってから、エレベーターのある方へ、廊下を歩いていった。

 うーん、寮長ってまじでいい人だな。
 ……さてと、荷物の整理でもするかな。って言っても、今までずっと依頼に合わせてホテルを転々としてたから、私物なんかキャリーケース1つだけどさ。

 それにしても……。やっぱり学生寮の2人部屋にしては広すぎないか? 個人部屋も10畳ほどあるし。寮なのに……贅沢な。
 クローゼットもでけーなー。そんなに服持ってねぇよ。依頼ごとに捨ててってるからなぁ。
 つか歯ブラシとか洗面台に置いていいのかな? ……冴島が帰ってきてから聞けばいーか。あー、なんかもう荷物の片付けはひとまず保留でいーや!
 リビングでテレビでも見んべ。


SIDE:空牙

 だりー。完璧正月ボケ抜けてねーわコレ。ちょっと溜まってるし誰か連れ込むか今日は。つか、リビング電気着いてね? テレビの音も聞こえるし。まさかつけっぱで実家帰ってたとかねーよな。

 俺は靴を脱いで部屋に上がり、リビングへのスライドドアを開けた。


「……誰だ? コイツ……」


 俺の部屋のソファで寝こけてる奴がいる。ちっさい身体を丸めて、暖房も付けずに。
 こいつが新しく入ってくるっていうルームメイトか……? すげーオタク。ないわー。最悪。頭ボサボサだし、ダサイ眼鏡して、おまけにチビでガリガリだな。

 ん? ……いや、身体はなかなか、……いいな。よく見たら肌も白くて綺麗だし、おぉ、頬スベスベだな。おまけにプニプニじゃねーか。
 うおっ! ケツ柔らけー。これは揉みがいと挿れがいがありそうなケツだ。
 顔さえ見なきゃイケそうか? 勃つか? どうだ息子よ。

『眼鏡を外すと実は美少年でしたー。とかいうハプニングがあれば元気モリモリです』

 そうかそうか、息子よ。俺も同じ意見だ。邪魔くせー眼鏡を外してやろうじゃねーか。


「……うわ、まじか……!」


 ……可愛い。
 おいおい、モロタイプだぞ。ど真ん中直球ストライク。160キロの超メジャー級。
 これは手出すしかねーだろ。誰がどう見ても据え膳。これでイカなきゃ男の恥だぜ。


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