2階
再びエレベーターに乗り、2階で降りた。
「まず、2階からね。3階から上が部屋になってて、1階と2階は共同スペースだから。2階には、この談話室と、あっちに大浴場が2つあるよ」
エレベーターを降りたところが談話室と呼ばれるスペースらしい。エレベーターを背にして見て左手に1階へ降りる階段、右手には大浴場への入り口がある。談話室には大量の本棚と、40人ほどが座れるくらいのソファや机が備えられている。……が、今は誰もいないようだ。
「あれ? 風呂は部屋にありましたよね?」
「4人部屋にはないんだよ。2人部屋は4人部屋より大分寮費が高いし、そもそもの部屋数も限られてるから入れない生徒が多くてね、全校生徒の4分の3程度は4人部屋なんだ」
「あぁ、そうなんですか」
ん? さっきもう一部屋空いてるみたいなこと言ってなかったかな。もっとヤバイ奴がいるとか。そいつのせいで1人分浮いてるってことか。
「栗原君が2人部屋に入れたのは本当ラッキーだよ。たまたまあの部屋に入っていた生徒が退学して、メンテナンスが終わったばかりだったんだ」
「そうでしたか」
「で、大浴場は使う機会ないと思うけど、1、2年と3年で分かれてるから、気を付けてね」
「はい、分かりました」
「それから談話室はね、大体の漫画が最新巻まで揃ってるよ。新聞と雑誌も最新のものが置いてあるから、結構オススメ。新聞と雑誌と漫画しか置いてないから、一般書は一般棟の5階にある図書館で読んでね。それから、あそこにある自販機もカードキーで買う仕組みになってるよ。学園内では現金を使わないでカードキーで精算が当たり前だから、絶対になくしちゃだめだよ」
「分かりました」
「次は1階ね」
寮長に続いて1階と2階とを繋ぐ、妙にメルヘンな階段を降りる。
金の手すりに、真っ赤なカーペットが敷かれ、まるで舞踏会が開かれる場所にあるもののようだった。
きらびやかな1階とはよく似合っているが、漫画だらけで大浴場まである2階にはあまりマッチしていない。
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