エレベーターとカードキー




「栗原君の部屋は12階ね、1206号室。カードキーに印字してあるでしょ? じゃあ、まず、エレベーターの説明からね」


 なぜか3つもあるエレベーターの内の右端のエレベーターに乗り込んだ。そして、寮長は何も言わずになぜか15階のボタンを押した。俺の部屋は12階だと今その口で言ったのに。
 すると、少し照明が薄暗くなる。しかもエレベーターが動いている気配はない。


「……?」

「ちょっとごめん。教科書、下に置いていい?」

「はい、構いません」

「ごめんね。えーっと……これが俺のカードキー。シルバーでしょ? このカードキーがあると、14階まで行けるけど、最上階の15階は行けない。最上階に行くには、ゴールドのカードキーがいるんだ。ここのカードリーダーに特別なカードキーを通さないで、今みたいに14か15階のボタンを押すとエレベーターの機能がこんな風にダウンするようになってるから気を付けてね。機能を回復させるには特別カードキーを通すこと。無いと思うけど、もし誤ってダウンさせちゃった時は、非常用ボタンで用務員を呼んでね」

「なんでそんな仕組みになってるんですか?」

「最上階は生徒会専用の特別フロア、14階は寮長の俺とか、風紀委員長とかのフロア。つまり、人気のある生徒や、不正をしてはいけない立場にいる生徒に、一般生徒が近づけないようになってる」

「はぁー、すごいですね」


 ……てことは、俺のカードキーで15階まで行けるってことか。さっきの理事長室があった塔のエレベーターも動かせるんだな。


「じゃあ、エレベーターの説明終わり。部屋に行こう」


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