……は?
「立食パーティーだからねぇ〜、手荷物邪魔でしょっ? だから受付で預かってるの。ちゃんと保管しておくから安心してねっ!」
「メシ食えんの!? チョコ渡して解散かと思ってた。ラッキー!」
立食パーティーと聞いて俄然テンションの上がる俺。幸ちゃん先輩がにこにこ笑いながら、俺が手に持っている紙袋を指さした。
「リンちゃんのチョコはそれ? 冷やして置いた方がいいものかな?」
「あーうん、一応、冷やしといてもらおうかな。プリンなんだ」
「はい、じゃあお預かりしま〜す! 野田のは?」
「俺のは暑くないとこならどこでも」
「わかった。一之瀬は持って来てる?」
お? 幸ちゃん先輩って誰でも『○○ちゃん』って呼ぶからてっきり繭ちゃんみたいに『狼ちゃん』『カズちゃん』って呼ぶんだと思ってた。名字なんだな。意外に。
「いや」
「そう。じゃあ、もう3人共行っていいよ」
どうやらあまり仲が良くないらしい。当然と言えば当然だよな。OVERFLOWとgadgetってなんだかんだでピリピリした感じだし。
タロとカズも受付に手荷物を預けて、3人でパーティーの会場へと入った。
「うぉっ! すっげー豪華じゃん! 食いもん取りに行ってくる!」
「待って。俺も行くよ」
「おうっ。カズは?」
「俺は小麦に用があるけん。探してくる」
「じゃあ、あとで合流しようなー!」
タロと食べ物を物色する。タロの持つ皿に乗っているのがスイーツばかりな所を見ると、俺に付き合っているだけらしい。
端から見ても上機嫌なのが分かるタロを見ているのは俺も楽しい。ただ、それを見た他の奴らが騒いでいるのはうっとうしい。どうやら、栗原鈴音以外の奴にこんな態度で接しているのを不思議に思っているらしい。
少し目立ってしまっている俺達の下に、近付いてきた生徒が1人。それを見てまた周りの連中は、不思議に思うのだろう。
「リンさん。野田先輩」
「おす、司。お前こんなとこいていいのか?忙しいんじゃねえ?」
「まぁ、それなりに。でもお2人の姿が見えたんで挨拶だけでもと思って」
宝生学園理事長の息子で、中等部の生徒会長である司が、得体の知れない俺と、学園一の問題児であるタロと知り合い。
予想通り、周りにいる奴らは俺達がどういう関係なのか量りかねている様子だ。
「そっか。お疲れさん。とりあえず、タロ。お前に紹介しとくわ。司をチームに入れることにしたから」
「……は?」
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