wktkボーイズ
SIDE:リン
パーティーの会場になっている講堂へと向かう俺達。タロとカズと3人で歩いていると、やっぱり視線が痛かった。俺は今日初めて、月夜の姿で真っ昼間から学園を歩いている。タロを好きな男、カズを好きな男、月夜が見たい男。大量の視線が注がれる。
「なんでこっちばっかり見やがるんだよ……うぜーな」
「気になるなら俺が蹴散らしてくるよ?」
「アホか。やめとけ。なぁ、カズ? お前にも親衛隊ってあんのか?」
「こめ……いや、小さいけどな」
「まぁ、一之瀬グループでその顔ならあるに決まってるか」
「お? 俺んちが一之瀬グループてて言ったかや?」
「お前からは聞いてねぇけど、一之瀬和臣って聞けば分かるよ。大企業主とその長男くらいは把握してる」
ほー! と感心しているような表情をしているカズ。どうせカズも、タロだって、それくらいは把握しているくせに。こんな学園にいれば、財界や政界の有名所にも裏の人間にも詳しくなっちまう。
「そういうリンは? 俺達と変わんないくらい金持ってそうなのに、てかAクラスだしさ。でも俺は、栗原なんて聞いたこと無いよ?」
「俺のことはいーの。誰も俺なんかに興味ねぇよ」
「ねぇ、リン」
「あ? なんだ?」
「リンは有名なんだよ? そりゃ、この学園じゃOVERFLOWを知らない奴の方が多いけど、知ってる奴は知ってる。だから、自覚して。お願い。1人にならないでね?」
「わかってるよ。お前らのそばにいる。っつーか、タロこそ俺から離れんなよ?」
「離れろって言われたって離れないもんっ」
「はいはい。おら、行くぞ」
「はーい!」
俺達が講堂に入ると、そこはもう凄まじいことになっていた。
チワワ系男子ばかりならまだしも、ゴツイ男子もしっかりと頬を染めて立っている。ウキウキワクワクな男共がいっぱいいるのだ。
「うーわー、想像以上だなこりゃ。引くわ」
「そんなこと言わないのっ! さっ、早く受け付け済ませてね〜。えーと……月夜ちゃん?」
後ろから幸ちゃん先輩が声をかけてきた。受付の担当になっているらしい。なるほど入口から混雑してる訳だ。
「あ、幸ちゃん先輩。はよっす! 俺のことはリンでいいよ」
「じゃあ、リンちゃんっ。受付はこっちですよ〜」
幸ちゃん先輩に手を引かれて、受付のカウンターへと案内された。俺はそれを全く気にしていないが、タロは青筋をビキビキと立てていた。俺が誰かに触れたり、触れられるのを極端に嫌がるのだ。飼い主を独占したいってやつだと俺は解釈している。
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