葛藤




SIDE:鈴音

「…………」


 ……なんで、キスなんかしちゃってんの、俺? しかも俺から望んだ? みたいな気が……。
 もっとキスして欲しいって思っちゃったし。……気持ち、よかったし。チョコが甘くて、フワフワして、抱きしめられんのも心地好かった。
 空牙だったら前にもしたし、いっか? いやいや、だめでしょ。いくら下半身だけの男と言われる奴でも好きな奴がいるのに俺なんかと……ん? なんであいつ俺にキスしたんだ? 好きな奴いるっつってたのに。
 あれ? じゃあなんで俺は空牙とキスしたんだよ。俺は空牙が好きな訳じゃないのに。

 ……したかったから。
 なんで?
 ……気持ちよくなりたかったから。


「おーい……」


 大丈夫か、俺。
 なんか思考回路が侵食されてる気がする。……この学園に。


「……止めてくれよ」


 どんどん、どんどん大切なものが増えてってる。友達。仲間。思い。……ふざけんじゃねーよ。
 俺は、宝生からの依頼が終わったらここから出ていくのに。俺の中に、これ以上、入ってこないでくれ。


「離れたくないんだ……」


 ……みんなと。


- 178 -



[*前] | [次#]
[戻る]


×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -