甘い味




「何すんだよー。潰れたじゃねーかよ」

「潰したんだよ」

「あ?」


 俺が掴んだせいで、鈴音の手が柔らかいチョコまみれになった。指と指の間にまでチョコが付いている。


「……知ってるか?」

「何を」

「指も感じるってこと」


 掴んでいた手を引き寄せる。細い人差し指を口に含んだ。爪と指の境を舌先でくすぐると、ピクンと指が動いた。深く銜える。指をしゃぶって、指と指の間を舐める。
 紅潮していく鈴音の頬。潤む瞳。冗談のつもりが、止まらなくなる。


「どんな感じ?」

「……わ、かんねぇ。けど、変な感じ」


 俺は手を伸ばして、まだ形作られていないチョコを人差し指と中指で掬った。それを鈴音の口に近づける。


「舐めて」


 拒絶しようもとせず、俺の指を銜える鈴音。舌や上あごを指で撫でる。


「ンッ……ふ」

「気持ちいい?」


 俺の目を上目遣いで見ながら、こくんと控えめに頷く鈴音。さらに興奮が増す。俺は指を引き抜いた。


「もっと食いたい?」

「……うん」


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