まじかー!(勘違いです)




「なに?」


 俺は再びソファに腰を下ろした。幸ちゃん先輩に掴まれた手はなんとなく離すことはせず、繋いだまま。


「リンちゃんはパーティー初めてだからね、一応言っておきたいんだっ」


 幸ちゃん先輩は、向かいに座る2人の存在は無いもののように、俺の方に体を向けて座り直した。さらに、繋いだ手をさらにギュッと握られる。うわ、可愛いんだけど。


「あのね、参加者は必ずチョコを1つ持って行かないとダメなの。チョコじゃなくても、2つでも3つでもいいんだけどね」

「わかった。用意するよ」

「でねっ、親衛隊がある子にはチョコが殺到しちゃうから、そういう子に渡す場合は受付で済ますことになってるの。だから安心してねっ? あと、親衛隊の隊員数が多い子からのチョコはみんなの前で渡すことになってるから」

「見せ物ってこと?」

「まあ、そうなっちゃっても仕方ないね。でもそれがメインイベントになってるから、チョコ忘れないでね?」

「りょーかい! そんだけ?」

「うーんとねぇ……」


 幸ちゃん先輩が考えていると、なぜか、不機嫌さを抑えようとはしているものの伝わってしまうほど不機嫌そうな司が、幸ちゃん先輩に物申した。


「なんで手繋いでるんですか?」

「あれぇ? ほんとだねぇ。ごめんね? リンちゃん」

「幸ちゃん先輩なら全然いいよん」


 繋いでいた手を離した。
 意味不明な司の不機嫌が直ることはない。しかも会長まで眉間にシワを寄せて幸ちゃん先輩を睨んでいる。幸ちゃん先輩はと言えば、そんな会長をからかうような目で見ていた。
 ……まさか、会長と幸ちゃん先輩って……! まじかー!!


「もう言っておくことはないやっ。引き止めちゃってごめんねっ」

「オッケ! 教えてくれてありがとね。じゃあまたね!」


 俺は立ち上がった。
 会長と幸ちゃん先輩が付き合っていたとは!いやぁ、分からんもんですな。そんなことを思いながらリビングから出ようとしたところで、司に声をかけられる。


「リンさんっ」

「ん? なに?」

「パーティー当日は中等部も一緒なんで、あの、その……よろしくお願いします!」

「おぅ! 見つけたら声かけるわ。また話そうな。じゃな、司!」


 司に手を振って、俺は1501号室から出て行った。


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