宝生司




「おぅ、俺さ……」


 と、俺が話し始めたというのに、会長の部屋には以前聞いたインターホンの音とは違う呼び出し音が鳴った。


「誰だ?」

「僕が呼んだんだっ。つーちゃん」

「司?」

「とにかくエレベーター上げてあげるよ? いいよねっ?」

「あぁ」


 どうやらエレベーターを15階まで上げる許可を貰うために鳴らされた呼び出し音だったらしい。幸ちゃん先輩が、司という人物と二言三言会話して受話器を置き、またソファに戻ってきた。


「なぁ、司って誰?」

「宝生司くん! 理事長の息子で今は中等部の生徒会長なんだよっ」

「へぇ〜」


 あぁ、次男坊か。一応依頼人の調査をしたときに情報は仕入れたけど、実物の顔を見るのは初めてだな。神の恩恵を授かった父親に似て、男前な写真でしたよ。うざいの一言です。
 すぐに部屋のインターホンが鳴る。


「幸介、出ろ」

「はーい」


 幸ちゃん先輩がリビングから出て行き、そして司と共にリビングへと戻ってきた。
 司と目が合う。……ほぉーらな、写真よりも男前だった。大体、中等部の生徒会長って時点でもう分かってたけどね。抱かれたい男ナンバーワンなんだもんね。


「月夜さん、ですか?」

「まぁ一応。そうだな」

「本物は写真とは全然違いますね! 中等部でも月夜さんの写真が出回っていますよ。すごい人気です」

「へ、へぇ〜。そうなんだ?」


 誰がいつどこから撮ってんだ?
 つーか次男坊、ちゃんとにこやかだし、なかなか印象は悪くないな。


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