自分をエサにしてみよう
チョコ100個は冗談として……いや、欲しいけどね。かなり金持ちが用意するチョコに期待はしてるけど。
それより、そのパーティーに出席することで、媚薬の売人からコンタクトが無いだろうか。と、考えている。今までに捕まえた媚薬使用者は、理事長によって例外無く退学処分になっている。処分の原因は明かされていないが、売人だけには分かるはず。
夜に出歩いているから月夜と呼ばれるようになった人間が、クスリをやっている族をいくつも潰してきたOVERFLOWのリン。
売人がどんなに察しが悪くても、リンが媚薬使用者を捕まえるために動いているということに気付くだろう。
言わば、これは挑発だ。
媚薬使用者を捕まえているのは、この俺だ。と、売人の前に出て行ってやる。俺を妨害してみろ。逆にその尻尾を掴んでやる。
その日の夜。俺はバレンタインパーティーに月夜として出席する許しを得るために会長の部屋に向かった。王の間と呼ばれる部屋のインターホンを鳴らす。
「あぁ、お前か。俺も話があるからちょうどいい。入れ」
「お邪魔しまーすよっと」
リビングに入ると、ソファに幸ちゃん先輩が座っていた。俺の顔を見るなり、ぴょこっと立ち上がる。
「あっ! リンちゃーん! 久しぶりっ。こっち、隣座りなよっ」
「幸ちゃん先輩も来てたんだ。邪魔しちゃった?」
「ううんっ。リンちゃんにも関係ある話だし、ちょうどよかったよ!」
「そういや会長もそんなこと言ってたな」
幸ちゃん先輩に言われた通り、隣に腰を下ろす。会長もほぼ同時に向かいのソファに座った。
「幸介がいても都合の悪くない話なら、まずお前の用から聞こう」
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