対策会議
小麦が去ったあと、まず最初に空牙が口火を切った。
「どうするつもりなんだ? 公認にするのか?」
「んー、する必要無くねーか? 月夜って生徒はいないんだしよ」
「でもリンが1人でいるところを狙われたりしたらヤベェだろ。規則で縛れるならそっちの方が……」
「でも集会ダルくね?」
1番気になるのがその点だった。中等部から親衛隊を公認にしていた空牙はともかく、先日初めて集会を行ったタロも俺と同意見だった。
「ダルい」
タロが親衛隊を公認にしてまず最初に作った規則は、もちろん『誰と仲良くしても干渉するな』だ。本当は『栗原鈴音に手を出すな』という規則を作りたかったらしいのだが、それでは余計に角が立つと俺が止めた。
「公認にしないままでいっか。月に一度集会なんかに出てたら、その時栗原鈴音がいねぇのがいつかバレるかもしんねぇし」
「でもお前1人で夜出歩いてんだろうが。危ねぇぞ。親衛隊なんつーもんができたら集団でよからぬことを企てるかも」
「大丈夫だって。素人が50人100人いたって勝つ自信ある」
「まぁ、かもしんねーけどよ」
「だろ? 問題ないない。ってことで私設で放置。決定」
「俺、リンのこと守るからね! 鈴音は俺と同じブレスしてっから誰も手ぇ出せねぇし!」
「あ? これってそのためだったのか?」
左手首に付けているタロと色違いの皮のブレスレット。タロはそれを見せつけるように、いつも袖を捲っている。真冬なのに。
「それはね、魔除けだよっ」
「ふーん。まぁ、今までお前らの親衛隊関連で問題が無いのが不思議だったけど、そういうことだったのか」
野田狼が恐くて、栗原鈴音に手を出せなかったのね。
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