あっちこっち鈴ちゃん
SIDE:一郎
「は!? お前なにしてんねん!」
「別に悪いことじゃねーだろー。相手はあの桜井財閥だぜ? お得意様になってくれりゃ、ガッポリだ」
「ちゃうやん。そういう話とちゃうやないですか。ね? 鈴ちゃん。俺の言いたいこと分かりますか?」
「んだよ。はっきり言えよ」
何だよはこっちのセリフじゃ! 何やねん! まじで。ちょっと仕事で目を離した隙に、たった2週間程度、俺が学園におらんかった間にや。
『月夜』とかいう名前で呼ばれて親衛隊までできとるし。一之瀬和臣が戻ってきて、しかも野田狼と同室で。ほんで鈴音も一緒になって外でまたアホやらかして。桜井圭吾に正体ばらすだけならまだしも、春から会長補佐になるやて? 報酬が食いもん!?
「お前無自覚も大概にせーや? 会長補佐って何か分かっとんのか?」
「おぅ。会長の恋人がなるもんなんだってな」
「分かってなるんか。桜井圭吾と付き合うとるんかい」
「んな訳ねーじゃん。純然たるビジネスだよ」
それこそそんな訳ないやろが。分かれや! 桜井圭吾がレオンのほんまの姿見て、グラッと来てへん訳ないやん。あんな綺麗で可愛いて可憐でエロくて繊細で儚げなレオンを見てやで、しかも作った方のレオンを見てや……惚れへん訳ないやん!!
「俺、その内ハゲるわ……」
「あ? 何の話だよ。ブリーチか?」
「お前のせいでストレス溜まってハゲる言う話じゃ! どんだけ他の男ン所に行ったら気が済むねん。お前はもっと意識せえ!」
「……無理があんだろーが。俺は恋愛感情ってのが分からねぇんだしよ」
「俺が分からせたるやん」
- 161 -
*前 | [次#]
[戻る]