15年の空白が、僕たちにはある。
15年前、突然消えた彼。
あの時の悲しみは、今でも覚えている。
彼と友達でいれたのは、たった一年だった。
けれど、その一年が、僕には忘れられない思い出になった。
彼の事がずっと、忘れられなかった。
どこにいるのか、何をしているのか、ずっと分からなかったから、
あの時、ようやく見つけた彼を、今度は絶対に離したくなかった。
彼に会って、話をして、そして、また友達になりたかったんだ。
彼が暗い道を歩くなら、僕が彼を照らす灯りになりたい。
彼を助けたい。
心から、そう、思った。
だから僕は、弁護士になった。
彼と会うために。彼と話をするために。彼を助けるために。
法廷で再会し、話をし、
そして今回、彼の弁護をした。
僕は、彼を助けられたのだろうか。
無罪を勝ち取ったということが、助けた事になるかは分からない。
彼の心に少しでも、光が灯ればいい。
「御剣」
「…なんだろうか」
「15年も離れたけどさ、僕は友達だと思ってるから」
「なんだ、突然」
「ほら、一応言っておかないとさ。御剣は僕なんか友達だなんて思ってないかもしれな
いし」
「ム…」
「なんだよ、図星なのか?」
「ち、違う。そうではない」
「じゃあなんだよ」
「…友達…なのか?」
「うわ、御剣酷いな。やっぱ言っておいて良かった」
「…」
「ここまで来て友達じゃなかったら何なんだよ」
「うム…」
「これからはさ、もっと友達らしい感じになれたらいいな」
「?」
「だってさ、15年の空白は長いだろ」
これからは、その空白をゆっくり埋めていきたい。
君と、もっと仲良くなりたいんだ。
「これからもよろしく、御剣」
「…あぁ」
君と、友達に。
これが、テーゼ。
20120312
短編のテスト投稿用に。
一応続きます。
誰かの視点で書くという作業が苦手らしい事が分かりました…
残念すぎる…