なんて不毛な関係なんだろう。
なんて不毛な行為なんだろう。


夜が来るたびそう思う。
独りの夜は勿論、こうして君が隣で眠る夜も。
君だって言わないだけで思っているんだろう?
僕たちの関係が、行為が、とても非生産的な意味のないものだって。
僕が分かってるんだ、君も最初から分かってたはずだ。
ああ、どうして僕たちはただの友達でいられなかったんだろう。


隣から聞こえる規則正しい寝息。
アッシュグレーの髪が乱れてシーツに散らばっている。
先ほどまでの熱に浮かされた僕なら、今の君を単に「綺麗だ」って思うだろう。
でも今の僕は、それ以上に君が悲しく映って仕方ない。
こうして君の隣にいるのが、僕であること。
どうしてだろう、悲しくて、苦しくて、罪深く感じる。
僕たちは一体、何をしているんだろう。
そしてこれから、どうなっていくんだろう。

「御剣」

それでも僕は、君の事をこんなにも愛おしく思うんだ。

「…なるほどう?」
「あ、ごめん、起こしちゃったね」
「どうかしたのか?」
「ううん」

思い悩んだってどうしようもない。
そんな事は分かっている。
それでも夜は、僕を不安にさせる。

「昼間」
「なに?」
「ニュースでやっていたのだ」
「ニュース?あぁ、事務所で見てたやつ?」

そういえば昼間、事務所にやってきた御剣は、
仕事に追われる僕を後目に真宵ちゃんとテレビを見ていたっけ。

「動物園の番いの話でな、オス同士だったのだよ」
「番いが?」
「うム。それが判明して、二匹は引き離されたそうだ」
「へぇ…動物でもそういうのあるんだね」
「真宵クンがな、言っていた」
「なんて?」
「素敵だ、と」
「素敵?」

真宵ちゃんは、僕たちの関係を知らない。
とても仲がいい、くらいにしか思っていないと思う。

「性別の壁を越えられるくらいにお互いを好きでいるんだろう、と言っていた」
「…性別の壁、か」
「…そうでなくとも、人間の場合70億人の中から選びとったというだけで相当だと思うがな」
「そうだね。でもさ、世界中の人たち一人ひとりと会った訳ではないんだよね」
「あぁ。日本の人口から年齢や地域を絞っていけば世界は狭いな」
「うん」
「その中で君と出逢ったんだ」
「うん」
「そして君を選んだ」
「僕が選んだんだよ」
「ム?」
「僕が勝手に君を選んで、巻き込んだんだ」

勝手に好きになって、気持ちを押し付けた。
君は優しいから、こうして僕に付き合ってくれる。

「…君は、馬鹿だな」
「なんだよ」
「成歩堂」
「なに?」
「世界には70億の人間がいる」
「うん」
「その中の男二人がどうなろうと、世界は何一つ変わらんよ」
「…」

御剣は分かっていたんだ。
僕が考えていること。
きっと一度は、君も同じ事を考えたに違いない。

「それに」
「?」
「私は君が思っているよりもずっと前から、君の事が好きだ」
「え…」
「フン、勝手に巻き込んだとか考えるな、バカモノ」
「御剣…!」

どうしても君の事が好きで、
どうしても君にこの想いを伝えたくて、

ようやく繋がれた僕らの運命は、
いくら周りの人間からは不毛に見えても、
僕たちにとってはかけがえのない大切なものなんだ

どんなに僕が迷っても、君が隣に居てくれる限り



30120327

ナルミツ(ホモ)って不毛だよなーと思って何となく書いた文。
最後どうやって終わればいいか分からなくてこんなんになった^p^





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