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「美咲!」
「ん?」
「私、設楽先輩が好き!大好き!だから、」
「(嘘、ちょっと待て…!)」
「相手が美咲でも、設楽先輩は諦めない!」
「(…か、勝てる気しねええええ)」
まさかのバンビとvsモード、突入しました。
* * *
「あ、聖司せんぱ「設楽先輩!おはようございます!」」
「…あぁ、お前か」
おはよう。と少し微笑んで挨拶する聖司先輩とバンビを遠目から見て、やっぱりかと苦笑する。
「(あのバンビに張り合えるとか思ってねーよ)」
これは、本格的に聖司先輩を諦めるしかないかと小さくため息をつけば、彼がこちらを見ているのに気付き、一礼だけして教室へ向かった。
だから私は気付かなかった。
「…なんだよ、あいつ」
「設楽先輩?どうしたんですか?」
「…なんでもない」
悲しそうな顔をしつつ悪態をついていた先輩が、私の背中を見ていたことに。そして、その聖司先輩を悲しそうに見つめるバンビがいたことに。
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